2016.08.28 Sunday

あさになったので まどをあけますよ

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    あさになったのでまどを あけますよ

     やまは やっぱり そこにいて
     きは やっぱり ここにいる 
     だから ぼくは ここがすき

     きみのまちは はれてるかな?

     

    大好きな荒井良二さんの絵本の一節です。

     





     20代まだ就職したての頃、

    当時一緒に住んでいた妹と北海道を巡る旅をしました。

     東の釧路市場でイクラをたっぷり、
     北の網走刑務所で蝋人形にふるえ、
     西の海岸線に光る海にたまらず電車を飛びおりる。

     さっき車内で喧嘩したばかりの私と妹は数十メートル離れて歩いていたのだけれど
     「ウニ食べない?」

    っていう密漁のおじさん方の一声で即仲直りをしました。

     青春18切符での気ままな旅。
     

    それから自転車で美瑛の町をひたすら漕ぎました。

     どこまでも広がる丘にのびのびと枝を揺らす木々。
     

    赤や黄の入りはじめた木の葉と大地が青い空に映えて、
     ただ息を吸い込むだけで言葉にならない幸福感。
     

    アップダウンがあっても全く苦にならない。

     そしてそこにある家と人の佇まい。

     「なんで私東京に暮らしているんだろう?」

     ふとそう思いました。

     地球上にはまだ見ぬ景色が無数にあって、
     何処に住むかは自分で決められる。
     

    そんな当たり前のこと、
     それまで気づきもしなかった。

     「いつか自分の大好きな場所見つけて、そこに暮らそう。」

     そう心に決めた瞬間でした。


     それからずいぶんと時がながれ、いろんな事がありました。

     家族も出来たし、震災もあった。

     暮らしを見直す人はどんどん増えて、
     身近な友人が故郷や新しい土地に根ざし生きる姿を見るにつれ
     居ても立ってもいられないような気持ちになる。
     会いに行けばその想いはますます膨らみます。

     仕事はもちろんつくりつづけて生きたいのだけど、

    それと同じくらい大切なこと。

     

    人間として、いやもしかしたらそれ以上に

    動物として、心求める場所で生きていきたい。



     こども達の生きる力も、どれだけ変わってくることだろう?


     移動や通信手段は手軽さを増して、
     仕事の仕方は以前では考えられないくらい選べるようになっている。

     もしわたしが独り身ならば、すぐにでも何処かへ飛んで行く。

     だけど今の幸せがあるのは家族のおかげだとよく分かっている。

     でも何か方法があるはず、そんなことばかり考えていました。

     日々の細かなことはSNSに任せて、
     ブログでは考え方の芯となる様なことを書き留めておきたいと思っているのだけど、
     あまりにもプライベートすぎて不確実すぎて、

    一年半もの間更新することが出来ませんでした。


     でも。

     

     

    家族には今、それぞれやりたいことややるべきことがある。

     友達がまわりにいて、良い学校がある。

     それなら今あるご縁こそ大切にするべきじゃないのか?



     そう思って覚悟を決めた途端、出てきたんです。

    「 住みたい」

     

    と家族皆が喜ぶ家が、すぐ傍に。


     古いけれど、しっかりした造り。

     風が抜けて 光が差し込む。

     お庭には果樹が植えられ植物に囲まれて、
    愛情込めて住まわれたことが伝わって来る素敵なお家。


     どこかもっと遠くへ、と願いながら、
     私は今まで住んでいた家も好きでした。

     

     越してきたばかりの時はまだ隣が竹薮で、
     鶯の鳴く声で目覚める朝も。
     

    窓からは一本の木が見えて、いつも元気をくれた。
     

     ベランダから見下ろせば紫陽花が咲いて
     梅雨の晴れ間には

    陽に温められたお布団にもたれしばし眺める。

     こども達はまだずいぶん小さかったから大変だったけど、
     日に日にコミュニケーションがとれて

    個性が際立っていく様を一緒に過ごすのは
     忙しくも楽しい幸せな毎日でした。

     だけどその六年の間に竹薮は立派なマンションになり、
     向こうの生垣の木は間引かれ間引かれなけなしのスカスカに。
     

    越す直前には紫陽花もツツジもハナミズキの木も伐られて土は防草シートで覆われました。
     

     雨の音はしとしとではなく、大きな傘に落ちるみたいにバラバラと。


     虫は減るだろうけど、太陽に熱せられた空気は部屋を暑く不快にするだろう。

     

    願わくば「心の木」まで伐られぬことを。

     小さかった子供たちはいつの間にか上の子はのびのびと伸び、
     下の子はまだちんちくりんだけど気持ちは一人前、
     頭を蹴られながら家族皆で寝るのも限界が来ていました。

     歩けば足をぶつけて小指の爪はもうなくなりそうだし
     写真を撮ればドアの取っ手やコンセントが必ず写る。

     作品も知らず知らずのうちにせせこましいものにならないか。



     もっと自然のある場所に、と願いながら
     蝉が飛び立てばビクッと縮こまり(ほんとは蝉の方こそこちらが怖いはず)、
     玄関わきの枯れていく球根植物に群がる芋虫を遠巻きに見て見ぬふり、
     雨戸の戸袋に出入りする蜂に何も出来ない、、

     本当に思い描く生活が出来るのか、この家で実験です。


     そして私はこれからは少しづつ、家や子供最優先から、
     仕事にかける時間を増やして行きたいと思っている。

     やはり私が何か人のお役に立てるとしたら、
     つくることやアイデアを出すことだけだと思うから、
     そこを磨いて行きたい。

     目の前にあることに全力をそそいで、
     人と繋がって行きたい。

     今はこの場所を大切に、

    夢は少し先の未来に、
     そしていつでも動けるように、
     健やかでありたい。

     

     

    新しい家は開ける窓がたくさんあって嬉しい。

     

    思いがけず念願だった朝陽が、電線越しに輝いて見える。

     

    秋にはお楽しみのピアノもやってきます。

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